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第81回研究会


開催日時 2019年5月31日(金) 17:30-18:20
場所 神戸大学大学院国際文化学研究科 学術交流ルーム(E棟4階 E410)
発表者
荒木真歩氏(神戸大学大学院人間科学研究科博士後期課程)
 
タイトル
「新たな担い手と実践共同体―太鼓踊りの伝承プロセスに着目して―」
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要旨
日本の民俗芸能は村落単位で存在し、その住民たちが担い手となって代々伝承してきた。しかし少子高齢化・都市化など近代化により、その担い手は減り、全国的に民俗芸能の伝承の危機が叫ばれて久しい。そこで文化財行政等が外部から保護目的で介入したり、地縁のない新たな担い手が参与したりし、実践共同体が再編成するケースが増えている。
  
実践共同体とはジーン・レイヴとエティエンヌ・ウェンガーが提唱した、身体を社会化させることで構築する共同体である。本発表は日本の民俗芸能、特に太鼓踊りを対象に、新たな担い手が多く参与する現代の文脈の中でいかに太鼓踊りが伝承されているのかを実践共同体の枠組みから検討する。
 
事例として取り上げる篠原踊りという太鼓踊りは、担い手不足により一時中断を余儀なくされたが、文化財行政により奈良県内外から担い手を公募し、新たな担い手が半数を占める状態で保存会が再編成された。そこでは新たな担い手の参与は、芸態(身体技法)の変化の前景化という形で大きな影響を及ぼしていることが観察された。
そこで今回は新たな教授-習得の伝承プロセスで生じた芸態の変化に着目し、その変化に埋め込まれた担い手の社会関係を通して現代の実践共同体のあり方を見てゆく。