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第86回研究会


開催日時 2021年6月25日(金) 17:00-19:00
場所 オンライン
発表者
近藤祉秋氏(神戸大学大学院国際文化学研究科)
タイトル
「異種集合体の「備え」とコロナ禍―内陸アラスカ先住民の過去回帰言説を事例として」
要旨
本発表では、内陸アラスカ先住民社会の「備え」を明らかにすることを通じて、「備え」を専門家集団の現地概念としてではなく、不確実性を生きる生活者の生存戦略として捉えなおすことを目指す。具体的には、長期調査とコロナ禍後の短期オンライン調査の結果に基づいて、内陸アラスカ先住民社会で語られてきた過去回帰言説に焦点化しながらディチナニクのイーサイ家の3世代がたどった歴史を描き出し、「異種集合体の備え」という考え方を提示する。「異種集合体の備え」とは、人間・動物・精霊・器具の有機的なつながりが不断に更新されていくようなミリュー(milleu)の維持を指し、イーサイ家では狩猟の拠点としてのアラスカ山脈での狩猟ガイド業によって、混合経済下での生業活動とそれにまつわる複数種の関係を組織してきた。ケックの議論を踏まえ、本稿では、危機の「シナリオ」が集団内で共有される時、それが「シュミレーション」を生み出し、「異種集合体の備え」が毎回少しずつのずれを含みながら反復されていくさまを内陸アラスカ先住民社会の通時的な変化に関する分析の中で論じたい。